〈振袖〉
1、ハンガーにかけて湿気を飛ばす
まずは直射日光の当たらないところでハンガーにかけましょう。
ハンガーは肩に掛けた跡が残らないように着物用のものが好ましいです。
振袖以外にも、長襦袢、袋帯、帯揚げや帯締めなどもハンガーにかけておきましょう。
湿気の多い場所で干すとカビの原因となってしまうので、風通しの良いところに1日ほど陰干ししてください。
干したまま放置しておくと型くずれしてしまう可能性があるので、1日干したら片付けるように気をつけましょう。
2、汚れがないか確認する
特に汚れやすい箇所が衿元、袖口、裾の三箇所になります。
衿元と袖口は汗や皮脂、食べ物の汚れ、食べかすがつきやすく、裾は雨のはね上がりやほこり、泥がつきやすいです。
1のハンガーにかけている間に汚れがついていないかチェックしましょう。
3、洗いに出す
汚れがないかチェックをした際に、汚れが見つかった場合は洗いに出しましょう。
目に見えない場合でも汚れがついていることもあるのでできるだけ洗いに出したほうが良いです。成人式は冬の寒い時期に開催されるので汗をかかないように思いますが、振袖は締め付けて着るので意外にも汗をかいてしまいます。汗染みを出さないためにも洗いに出すことは、長く着ていくために必要な工程です。
着物が普段着だった時代では自分で着物を洗ってお手入れをしてきたと言われておりますが、専門の方にやってもらうほうが安心できるのでお任せするのがおすすめです。
着物クリーニングを行っているクリーニング店や振袖を購入した呉服店に持って行くとお手入れの依頼をできるようになっています。
4、たたんでタトウ紙に包む
振袖は「本畳み」という畳み方をしましょう。
畳み終わったら、和紙でできたタトウ紙に包んでください。
タトウ紙は通気性が良いので湿気から振袖を守ってくれる役割があります。ただし、長期間同じタトウ紙に包んだままにしておくと紙が振袖の水分を吸ってしまう恐れがあるので、定期的にタトウ紙を替える必要があります。
タトウ紙がない場合は白い布で包むことでも良いです。
5、タンスにしまう
タトウ紙に包み、平らな状態でタンスにしまいましょう。
振袖にとっては桐ダンスで保管することが一番良い保管方法になります。
桐は防虫効果があるほか、湿度に応じて膨張したり収縮したりして湿度調整をしてくれる効果があります。
タンスがない場合はプラスチック製の衣装ケースでも良いです。
ケースの底の部分にすのこを敷いて通気性を良くし、こまめに空気の入れ替えをすることが大切になります。
ケースの中に着物専用の防虫剤を入れて防虫対策もしっかりとおこないましょう。
〈帯〉
振袖と同様、着用後に陰干しをしましょう。
帯は目立つシワや汚れがある場合は洗いに出すことができますが、見た目で綺麗な状態の場合は洗いに出す必要はありません。
その後は正しい畳み方で帯を畳み、タンスにしまって保管しましょう。
〈長襦袢〉
長襦袢は肌に近いため汗がつきやすいです。
長襦袢も着用後に陰干しをし、水分を飛ばしましょう。
ポリエステルでできた長襦袢は家庭で洗濯できますが、正絹でできた長襦袢は自分で洗えないので洗いに出す必要があります。
長襦袢は汗ジミになりやすいのでしっかりお手入れしましょう。
〈肌襦袢〉
肌襦袢は家庭で洗濯することが可能です。
着た後は必ず洗濯をしましょう。
ただし普通に洗うと傷みやすくなってしまうので、洗濯ネットに入れて優しく洗ってあげてください。
〈足袋〉
足袋は床のほこりや汗・皮脂などの汚れがつきやすく、白なので汚れると目立ちやすいものです。脱いだらすぐに石鹸水に一晩浸しておきましょう。
汚れがひどい場合は布目に沿ってブラシで擦り、その後洗濯機で洗ってください。
干すときはシワにならないようにしっかり伸ばすことが大事なポイントです。
〈草履〉
脱いだら草履についた汚れを乾いた布で拭いてあげてください。
その後風通しの良いところへ干しましょう。
1日干したら箱に収納して大切に保管しておきましょう。
〈まとめ〉
振袖を長く着るためにはしっかりとお手入れをして管理することが大切です。
決して安くはない振袖を大切に保管していくために、時間はかかりますが手間をかけてお手入れをしていきましょう。
振袖を長く着用できることに繋がるのでぜひ参考にしてみてください♪
参考:大久保信子(2015)『伝統を知り、今様に着る 着物の辞典』株式会社池田書店